外科

粉瘤

アテローム粉瘤は、アテロームとも呼ばれる良性のできものです。毛穴の奥で皮膚が袋を作り、その中に皮脂や老廃物がたまったものであり、自然に小さくなることもありますが、大きくなってしまったり、炎症を起こして化膿してしまう場合もあります。巨大化や炎症が起こると治療しても痕が残ってしまう可能性が高くなるため、できるだけ早く治療を受けることをおすすめします。
粉瘤は身体中どこにでもできる可能性がありますが、多いのは耳たぶやその周辺、鼠径部、背中などです。

治療法

中に溜まったものと袋状の嚢胞をきれいに取り出す治療を行います。局所麻酔を行い、できるだけ小さな切開を行うことで、最小限の傷跡になるようにしています。炎症を起こしていない場合には、すぐに治療可能ですが、炎症がある場合には抗生物質の投与や膿の排出といった治療をまず行って、炎症が落ち着いてから粉瘤の切除を行います。

腱鞘炎・ばね指

ばね指手の指を曲げ伸ばしする歳に、カクンと引っかかる感触があったり、途中までしか曲がらなくなったり、無理に曲げると元に戻らなくなったりする状態をばね指と呼びます。腱鞘炎の1種であり、親指、中指、薬指に起こりやすい傾向があります。症状は起床時が一番強く、それ以降徐々に緩和していくという特徴を持っています。

治療法

軽度の場合には保存療法を用い、保存療法では改善しない場合や症状が重い場合には手術を検討します。
保存療法では、急性期の安静、そして落ち着いてきたらゆっくりストレッチングすることで改善を目指します。改善が見られない場合には、局所麻酔剤と副腎皮質ホルモン剤の混合液を腱鞘内に注射する治療法を用いて炎症を改善します。すぐに効果が実感できる療法ですが、腎皮質ホルモンには組織の萎縮をもたらす副作用が起こる可能性があるため、数度の注射を受けても一時的な効果しか現れない場合には手術が必要です。

ガングリオン

ガングリオンは腫瘤であり、中にゼリー状の物質が詰まっています。手関節背側(手の甲)に生じることがよくあります。手関節背側に生じたガングリオンは、手関節の関節包(関節を包む袋)に繋がっているため関節周辺にでき、大きさは米粒大からピンポン玉大までで、手を使いすぎると大きくなる傾向があります。軟らかい感触のガングリオンもありますし、硬い感触のものもあります。ガングリオン自体が痛むことはありませんが、神経の近くにできて神経を圧迫するとしびれや痛みを起こすことがあります。

治療法

放置しても心配はありませんが、見た目の問題もありますし、神経を圧迫して強い痛みが出ているケースや、運動障害などの神経症状を起こしている場合には治療をおすすめしています。
ガングリオンに注射針を刺して内容物を吸引して排出する保存療法では、何度か行う必要があるケースもあります。他に、ガングリオンに圧迫を加えて押しつぶす治療法もあります。サイズや場所、状態などにより適した方法を選択します。
こうした保存療法を受けても繰り返しガングリオンができる場合には、摘出手術も検討します。この手術ではガングリオンの茎を含めた切除を行います。

新しい創傷治療 湿潤療法

ケガ湿潤療法とは、消毒液やガーゼを使わず、より早く、きれいに治す新しい治療方法です。
実は、従来の傷治療で行われていた「消毒した後、ガーゼで被う」治療法は傷の治癒を遅らせるだけでなく、痕が残りやすく、無用の身体的苦痛を与えているということが最近になってわかってきました。消毒は菌を殺すだけでなく、ケガをした組織にも大きなダメージを与えますし、傷を乾かすことで治癒は遅れてしまうのです。そこで、痛みの改善や治癒などをできるだけ早め、きれいに治すことができる湿潤療法に注目が集まっています。
湿潤療法では、「消毒しない」「乾かさない」ことを原則としており、傷をまず水道水で洗った後、ラップ(創傷被覆材)などで閉鎖して湿潤環境を保ちます。実際にこの湿潤療法を導入してから、傷やヤケドがきれいに、そして早く治っており、患者様にも痛みが長引かないことやきれいに治ることで好評を得ています。

VAC療法(陰圧創傷治療)

VAC(バック)療法は、難治性の傷を被覆材で密閉して専用機器で吸引し、陰圧状態を維持しながら創傷(傷口)を治療するものです。傷を完全に密閉するために陰圧をかけて外気の侵入を防ぎ、創傷から出てくる余分な体液や膿などの老廃物、そして細菌などを専用装置で吸引して取り除くため、悪化させるリスクが低下します。また、創傷表面に吸引力がかかることで細胞の活動が高まり、血液が増加して創傷を修復する肉芽組織の形成が促進され、傷の治りも早くなります。
このVAC療法はKCI社により「V.A.C.ATS®治療システム(VAC療法)」としてシステム化され、当院でもこのシステムを導入しています。VAC療法は、2009年11月に厚生労働省から承認を受け、その後、2010年4月から保険診療でも使用できるようになっています。
褥瘡や潰瘍に対して有効な治療法です。なお、こちらの治療は入院となります。

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