血管外科

血管外科とは

血管外科では、血管(動脈、静脈およびリンパ管)における疾患を診療します。閉塞性動脈硬化症や下肢静脈瘤、深部静脈血栓症などの診断治療をします。
また当院では、人工透析が必要な患者様に対してシャント手術も可能です。

対応疾患

  • 閉塞性動脈硬化症
  • 下肢静脈瘤
  • 深部静脈血栓
  • リンパ浮腫

閉塞性動脈硬化症

下肢閉塞性動脈硬化症とは

むくみ足の血管が動脈硬化を起こし、血管が狭くなる狭窄や詰まる閉塞が起こる疾患です。下肢閉塞性動脈硬化症になると、足への血流が阻害され、足に十分な酸素や栄養が届かなくなり、しびれや痛み、壊死などの障害が現れる可能性があります。
また、下肢閉塞性動脈硬化症の原因は動脈硬化ですから、足だけでなく他の臓器にも症状が現れる危険性が高く、合併しやすい病気には狭心症や心筋梗塞・脳梗塞などがあります。糖尿病・脂質異常症・高血圧症・喫煙・高尿酸血症・慢性腎臓病・肥満などにより起こりやすいため、生活習慣病がある方は注意が必要です。

下肢閉塞性動脈硬化症の症状

下肢閉塞性動脈硬化症は、症状によって4段階に大きくわけることができます。冷えやしびれ、歩行による痛み、安静時の痛み、そして潰瘍や壊死の4段階です。

冷え・しびれ

足先の冷感やしびれ感が最初に起こる症状です。指先の血行が悪化するため、青白く見えることもあります。

間欠性跛行(はこう)

歩いているとふくらはぎなどに痛みを生じ、休まないと再び歩くことができなくなる状態です。進行すると歩ける距離が短くなっていきます。

安静時の疼痛

にっとしていても足に痛みが現れるようになります。刺すような痛みが続き、眠れなくなることもあります。

潰瘍・壊死

潰瘍ができて治りにくくなります。進行すると黒く壊死する場合があります。

診察と検査

レントゲン室上記のような症状があっていらした場合、まずはお話をよくうかがいます。そして、膝の後ろ、足の甲、くるぶしの下、太腿の付け根などの動脈の状態を確認します。
検査は、簡易検査と下肢動脈超音波検査などを行います。

ABI検査

上腕と足関節血圧比を調べるABI(Ankle Brachial Pressure Index)検査です。両腕と両足の血圧を同時に測って比率を出しますが、通常は足の血圧が高く1.0以上が正常、足の血流に異常があると1.0未満となります。下肢閉塞性動脈硬化症の疑いが大きいのは、0.9未満です。

下肢動脈超音波検査

いわゆるエコー検査で、プローブにゼリーを付け、体表面に当てて観察します。胎児の検査にも使われるほど安全性が高いことが大きな特徴になっています。超音波検査では血液の流れなどを観察でき、特にふとももの付け根から下の血管の観察に優れています。

下肢動脈造影検査(カテーテル検査)

入院が必要になる検査です。手首や肘、ふとももの付け根を局所麻酔して、動脈にカテーテルを挿入し、下肢動脈の近くまでカテーテルを進ませてから造影するため、より詳細な血管の情報を取得できます。

治療

保存療法では、運動療法と薬物療法があり、他に血管内治療や手術も用いられます。当院では患者様の症状や全身の状態に合わせて、最適な治療法をご提案しています。血管外科では、入院による検査や手術も可能ですので、転院せずにすべての治療を受けていただけます。

運動療法

間欠性跛行の症状までの方に有効な治療法です。1回30分、1日2回、週に最低3度の運動療法が必要です。とにかく「できるだけ歩く」ことが重要ですので、運動療法を行うことも推奨しています。

薬物療法

血液をさらさらにする抗血小板剤や末梢血管拡張薬を服用することで、足の症状を改善します。全身の動脈硬化への効果も同時に期待できるため、脳梗塞や心筋梗塞などに代表される動脈疾患の予防にもつながります。

血管内治療

カテーテルでワイヤーを挿入し、風船や金属ステントなどを使って血管の狭い部分や詰まっている部分の動脈を広げる手術です。

バイパス手術

自分の足の静脈や人工血管を使い、血管の狭くなっている部分や詰まっている部分をつなぎ合わせる手術です。

日常生活での注意点

下肢閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化が原因になっています。そのため、狭心症や心筋梗塞の予防につながる禁煙や食事療法がとても重要です。その上で、足に大きな障害が起こらないよう、フットケアを行って注意していく必要があります。

日常でできるフットケア

清潔を保つこと、しっかり観察すること、足に傷ができないよう心がけることが基本のポイントです。

入浴時のフットケア

足の裏や足指の間など、細かい部分もきれいに洗いましょう。
また、入浴時は季節にかかわらず必ず裸足になりますので、ここで足に傷やむくみがないかを調べます。また変色など、色の変化もチェックしてください。

靴の選び方

靴ずれやうおのめ、たこなどができると治りにくいため、足に合う靴を履きましょう。裸足で靴やサンダルを履くと傷付きやすいため、夏場でも靴下を必ず履くようにしましょう。

姿勢

立ちっぱなし、座りっぱなしは足の血行を阻害しますので、できるだけこまめに歩くようにしましょう。また、和式トイレなどのしゃがむ姿勢も足の血行を悪化させるためできるだけ避けてください。
カテーテル治療を受けた後、金属の筒であるステントが入っている場合には、特に注意が必要です。

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